最近、夢を あまり見なくなったような気がする。将来にむけて心に描く夢ではなくって、眠っている間に、楽しんだりうなされたりする方の夢。
 若かった頃は、毎晩のように、行った事もない土地に行ったり、テレビの中の有名人と会ったりと、何かと楽しい夢をたくさん見ていた様に思う。 そして、単純な好奇心から、夢占の類のみならずユング、やフロイトまで読みあさったのもその頃。
 私の持論では、「夢」とは、心の奥底にある潜在的な欲望、あこがれ、恐怖、あるいは悩み等が無意識の内に映像となって、心のスクリーンに写出される映画みたいな物。もしそうなら、夢を見、それを思い出して分析する事で貴重な情報が得られるかもしれないのです。
 思えば、人生75年生きるとして、3分の1は寝ている勘定になります。一生のうち25年は寝ていて、その間に見る夢はきっと膨大な数になるはず。こんなふうに考えると、今朝、確かに夢を見た覚えがあって、それが思い出せないとなると、とてもクヤシーじゃありませんか。
 そう、最近見なくなったと言うよりも、覚えていないだけなのかもしれませんね。毎晩のように夢を見ているのに、記憶に無いだけで、見なくなった…というのは、もっと悲しい。 以前、知らない内に犯していたミスを、潜在意識が夢のなかで気付かせてくれたりそればかりか、良い出来事の前ぶれのような夢を見たりした事もある私としてはなおさらの事。
 「夢も見ないぐらいぐっすりねむったよ!」と言う主人。その割には、良く寝言を言ったりしているから笑ってしまう。お年玉を数えていた息子が突然声を掛けてきた。
    息子「ねー、母さん初夢見た?」
    私 「……?」


苫小牧民報 1996年(平成8年)1月6日(土曜日)掲載


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